2013年3月19日火曜日

次年度の教員公募について

さて、今年度も残り2週間ほどとなり、来年度の人事採用計画の話もちらほら聞こえてくるころになってきました。
中には、この時期に今年の4月1日着任予定の採用人事の話をいまだにすすめている大学もあるようです。
教員公募に応募する立場からすると、遅くとも着任前年の夏までには正式な採用の連絡をもらい、割愛承認のための根回しや、後任の採用にとりかかりたいものです。
ポスドクや大学院からの就職ならば直前でもよいのかもしれませんが。

あまりに採用の連絡が遅れると、割愛が承認されなかったり、着任の時期を半年か1年延ばされるということも起こります。

公募を出し、実際に採用が正式に決定するまで、長い時間がかかるということを前提に採用計画はすすめなければいけないのでしょう。

2013年2月24日日曜日

修了か単位取得退学(満期退学)か

大学教員の公募の必要提出書類には、必ず履歴書が含まれます。
履歴書を出さなくてよい公募など聞いたことがありません。
そして多くの場合、履歴書には学歴欄があります。
大学教員のポストに応募しようとしている人の多くは大学院の博士課程まで通った人が多いでしょう。(たまにそうでない人もいます。地方私大や短大には、修士だけでなく、学部卒の人もけっこういます。)

そこでよく見かける独特な表現に「単位取得退学」「満期退学」といったものがあります。
具体的には、「平成24年3月 ○○大学大学院○○研究科博士課程単位取得退学」といった具合です。
「退学」という言葉のイメージによって、「途中でやめた」感がありますが、これは、「大学院の博士課程には通ったけど、在学している間に博士論文を書き上げることはできず、『博士』という学位は取得していませんよ。ただし、ちゃんと3年は通って単位は取得してます」ということを意味しています。「満期退学」も似たようなものです。
理系分野では、博士課程の3年で博士の学位を取ることが普通のようですが、文系はそういうわけではありません。
少し前まで、文系の大学院生(博士課程)は、学位を取れずに(取らずに)単位取得退学することが、「当たり前」と考えられていた感があります。(大学によって取りやすい、取りにくいという違いはよく聞きますが。)

最近は以前と比べると、学位を出す方向になっているようですが、やはり多くの学生は退学をしています。(この先2,3年で変わるかもしれませんが、あまり学位の乱発はしてほしくないものです。)
持っている学位は「修士」でも、修士課程にしか通わなかった「修士」の人と区別するためにあるとも言えるでしょう。
もちろん、博士課程単位取得退学者でも、その後、博士の学位を取得する人はたくさんいます。

一方、大学院博士課程在学中に博士論文を書き、提出し、博士の学位を取得した場合は、博士課程「修了」となります。

では、大学教員の公募の場合、この単位取得退学と修了とでは、どのように評価が異なるのでしょうか。

ケースバイケースではありますが、私の場合、「修了」と書いてあると、優秀な院生だったんだろうなという曖昧な印象をなんとなく持ちます。(なんとなくというところがミソです。)
評価に大きな差がつくことはありませんが、「修了」にはなんとなくカッコイイ響きがあると思ってしまいます。

もちろん、単位取得退学者が優秀でないとか、さぼってたんだろうなと思うことはありません。
博士課程在学中に学位を取ることのレアさと大変さを体感している世代だからこそ、「なんとなく」の良さを感じるのかもしれません。
しかし、その一方で、どこの大学が出している学位なのかということも気にします。
自分の分野なら、どこの大学の博士論文審査が厳しく、どこの大学の審査がそうでないか、ある程度わかるからです。

ま、結局は現時点で有している学位が重要なのですが。

ちなみに、私が初めて大学教員として採用された大学では、持っている学位が、博士か修士かによって、給料や昇給までの期間が違いました。

2013年2月22日金曜日

働きたい大学の特徴

私が働きたいと思う大学の特徴を勝手に挙げます。

1.学生が多い→大学が潰れない
2.大規模私立大学→給料がいい
3.講義担当コマ数が少ない→研究できる時間が増えるor丁寧な講義の準備ができる
4.研究費が豊富→まともに研究できる
5.事務職員が有能→無駄な仕事が増えない
6.教授会での決定が尊重される→ツルの一声でかき乱されない
7.名の知れた大学→一般社会で怪しまれない
8.教員たちがちゃんとした学者→アカデミズム特有の話が通じる
9.教員に任期を付けない→安心して働ける
10.キャンパス、建物がきれい→毎日働く場所ですから
11.便利な場所にある→毎日働く場所ですから
12.学食がうまい→毎日働く場所ですから
13.学生たちが元気→いい意味で

そんな大学日本に何校あるのでしょうか。
日本に800もある大学のうち、わずか7校くらいでしょうか。
そんな大学で教員してる研究者が心底うらやましいものです。

2013年2月14日木曜日

採用通知までの期間

大学教員の公募では、多くの場合、まずは書類審査による一次選考が行われます。
では、この一次選考を通過した場合、応募締切からどれ程の時間が経過した時に本人に通知されるのでしょうか。
私の場合、2度、1次選考を通過した経験を持っていますが、1度目は、書類応募締切の約1週間後には、1時通貨の通知がメールにて届きました。
2度目は、書類締切からちょうど1か月後に郵便で文書による通知を受け取りました。

通過していれば、早いうちに本人には通知が来るという話をよく聞きますが、1か月くらいは待たされることもあるようです。
応募者が多数の有名大学の公募であれば、書類審査にもそれなりの時間がかかるものです。
しかし、さすがに2か月以上ということはあまりないでしょう。
採用側としては、最終的に一人の採用者を決め、その人に赴任の意思があることを確かめてから、他の不採用者に対し、一斉に不採用通知を送信することが多いのではないでしょうか。

では、最終選考の通過は面接のあと、どれほどの期間をおいて通知されるのか。

私の場合、1度目は、面接が行われた当日の夕方に電話で内々の通知をされました。
2度目は、面接の2週間後に電話で通知をされました。

いずれもやはり赴任の意思を確認されました。
公募のスケジュールにもよるとは思いますが、面接目で終われば、あとは次年度に向けて準備を着々と進めなければなりませんから、通知は早くするのでしょう。

選考委員会で採用候補者をひとりに絞った後にも、教授会での承認、部局長会議等での承認、理事会等での承認、割愛の依頼と承認など、何かと手続きが必要となるのが一般的です。

人事は何が起こるかわからず、採用者も採用する大学側も、着任日まで安心することはできないのです。

採用が内定していて、実際には着任できない(多くの場合、大学から他大学への移動)こともあるのです。

採用された経験者に話を聞いてみるのがよいでしょう。

2013年2月9日土曜日

コネ

大学教員の公募でアカデミックポストを勝ち取った人には、さまざまな勝因があると思います。
当然、優れた能力を評価されて採用されることが原則ですが、中には、人とのつながり(コネ)が大きく影響することもあるでしょう。

コネで決まるというと、どちらかというとネガティブに捉えられるでしょうが、そうとも限らないと思います。
こういう人を採用したいという大学(部局)側のビジョンがあり、条件をすべて満たす優秀な人を信頼できる人から紹介してもらうこともあるでしょう。
(一方で、納得できない理不尽なコネ採用だってあるのでしょうが。)

コネを作るということを第一に優先すべきではないとは思いますが、学会に積極的に参加し、自分の研究を多くの人に知ってもらう、多くの人と知り合いになる、一緒に研究する、ということをしていれば、人とのつながりは自然にできますし、自分を知ってくれる人も増えるものです。

ひとりの人から、芋づる式に研究者の知り合いが増えることだってよくあります。

そして、公募の時、応募書類を見て、「あの人か。いいね。」と思われるのです。
もちろん、知られているということが、必ずしも良いこととも限りません。

「あの人の学会発表を聞いたことがあるけど、おもしろくなかった」とか、「研究が雑」、「変な人だから、一緒に仕事するのはちょっと…」という印象を持たれていると、当然知られていることが悪い影響を及ぼしかねません。
(中には「○○の弟子か」とか、「○○大学閥か」という変なことを気にする人もいますが、そんな人のことは相手にしないでいいでしょう。)

私も博士後期課程の3年生の時、知り合いの先生から、「学会発表するときは、就職活動と思ってがんばること」と言われたことがありました。

当時は、「そんなつもりで研究発表しているんじゃない」と純真な気持ちでいたのですが、今はその言葉に半分納得しています。
スカウトするつもりではありませんが、大学に職を得た今、学会で注目すべき若手研究者を見た時には、「こういう人がうちの大学に欲しい」と感じることがあるからです。

若手が妙に自分をアピールする場になり過ぎるのは変ですが、しっかりとした研究ができるということをほかの人に知ってもらうには、やはり学会での発表や論文発表が最良の機会なのです。


2013年1月29日火曜日

大学のくくり方、グルーピングについて

私立大学のくくり方、グルーピング(?)にはいろいろあるものですね。

早慶
早稲田大学、慶応大学

MARCH
明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学

関関同立
関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学

(↑このへんまでは、多くの人に認知されているかと思います。)

成成明学
成蹊大学、成城大学、明治学院大学

日東駒専
日本大学、東洋大学・駒澤大学、専修大学

大東亜帝国
大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学(または國學院大學)

関東上流江戸桜
関東学園大学、上武大学、流通経済大学、江戸川大学、桜美林大学

中東和平
中央学院大学、東京国際大学、和光大学、平成国際大学

もはやこのあたりまでくると、グルーピングの必要があるのかと、疑問を抱きます。

以前にも書きましたが、国立大学法人には、旧帝国大学(旧帝大)というグループが存在しています。
設立された順に、挙げると、東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学ですね。

学生だけでなく、大学教員もこうしたグループを意識することだってあるようです。
早慶、MARCH、関関同立レベルでは特にそうかもしれません。
良い意味で競い合うライバルがいるということは好ましいことなのでしょう。


2013年1月24日木曜日

任期付き採用の是非(大学教員の公募)

現在は、大学の教員として働くことを目指す人にとって非常に厳しい状況が続いています。
大学院で学位(博士)を取得し、業績をそれなりに積んで来たにもかかわらず、公募に出しては不採用、いわゆる「ますます通知」ばかりをもらっている人たちが私の周りにも沢山います。
彼らの顔を思い浮かべると、必ずしも研究能力が優れているということだけで採用を勝ち取ることはできないということを改めて感じます。

そんな状況の中にあっても、ひたすら闘い続けた若人の幾人かは大学教員という地位を得ています。
ところが、その「採用」は、「任期付き採用」である割合が近年ますます高まっているように感じます。

実際に、公募情報を眺めていると、「任期あり」の文字をよく見かけます。
期間が定められた研究プロジェクトの特任ポストである場合、「任期あり」というのは、当然でしょう。
しかし、大学の学部やセンターの専任ポストであるにもかかわらず、「任期あり」としている公募が意外にも多いのです。

おおよそ2~5年の任期を付け、「再任あり」とか「再任なし」といった情報がくっついています。
それぞれの公募にやんごとなき事情があるのでしょうが、しっかりとした研究者を採る、あるいは、安定的な部署の運営のことを考えると、こうした「任期付き採用」はいかがなものでしょうか。

経営上仕方ない場合もあるのでしょうが、特に若手に対し、「いつでもクビにできるんだぞ」という脅しの意味で任期を付けているケースでは、決していい結果をもたらさないでしょう。

教員は大学を信頼せず、優秀な人材はすぐに流出すると思います。

皆さんはいかがお考えでしょうか。

2013年1月22日火曜日

国立か私立か(大学教員の公募・職場選び)

大学の教員にとって、どの大学で仕事(研究・教育)をするのかということは、とても重要なことだと思います。
同じ「大学教員」であっても、所属する大学が違えば、「研究できる/研究はとてもできない」という違いがあるのは当然ですし、同じ職位でも年収で2倍以上の差が生じることも珍しくないのです。
職場としての大学選びの視点は複数ありますが、よく比較されるのが、「国立と私立」です。
大学の教員になるなら、国立の大学で働くのがよいか、私立の大学で働くのがよいのか、ということです。
何を重視するかによって、その答えは違ってきますが、私の分野の場合、私立に恵まれた環境が多いといえます。
ただし、どの私立大学でもよいというわけではありません。(←ここ最重要!)
定員割れで、経営が危うい過半数の私大のことを言っているわけでは決してありません。
あくまで、多くの学生に志願され、経営も安定している、都市部の大手の私立大学(そんな大学は数えるほどしかありませんが)の教員になることができれば、非常に恵まれた環境の中で、研究・教育ができるのです。

あくまで私の場合ですが、次に恵まれた環境はおそらく、旧帝国大学ということになります。すなわち国立の一部の大学ですね。
ただ、法人化以降、何かと不便なことが多いらしく、あまり良い話を聞かなくなりましたね。(理系の場合は、研究設備等の関係で旧帝大がもっともよい環境である可能性が高いかもしれません。)
「旧帝大の教員だぞ」と威張りたい人にとっては、ここがもっとも良い環境となるでしょう。
出身大学で働きたいという思いが強くなり、その願いが叶えば、私もここに帰ることになります。(今のところ、そのような気持ちは皆無ですが。)

それ以外となると、国立、私立という枠組みでの判断は難しくなります。
あとは、研究環境や待遇などを考慮して、個々に判断することになるでしょう。
ただ、規模が小さく、志願者も少なく、研究者ではない教員が多い大学(?)で働くことになると、とても苦しいものです。(私もこのような「だいがく」に所属していたことがありました。)
一応、「大学の先生」なのに、この先、安定した生活ができるのかという心配をしなければならない状況は辛いものです。

公募で研究職に就くこと自体がかなり厳しい状況ですが、「どこでもよい」という考え方も危険なのです。

2013年1月20日日曜日

公募での大学選び

大学の教員になりたい、または、現在大学の教員で、別の大学に移りたいと考えたとき、多くの人は、各大学の公募情報をチェックするでしょう。
分野にもよりますが、1年間に自分が応募できそうな公募は複数あると思います(ひどく限定しすぎなければですが)。
その際、皆さんなら、どのような大学に応募する(したい)でしょうか。
「大学など選んでられない!」という声も聞こえてきそうですが、長く勤めることになるかもしれない職場選びです。候補が複数ある場合には、少し慎重な態度も必要かと思います。
ひたすら応募し、苦労して内定を得ても、着任前になって詳細なことがわかってくると、行くのを断るというケースも少なくないようです。
応募の時は、「どこでもいい」と思っていても、着任するとなると、待遇や大学の雰囲気、評判、内部の人間関係のことを考え、やめておこうとなることがあるのです。
そんなことになると、よけいな労力を費やし、どっと疲れます。

では、応募する時点でどのようなことを考えておくべきなのでしょうか。

人によってさまざまでしょうが、おもに以下のようなことが考えられます。

自分の専門性と所属する学部、学科、研究室との相性。

研究を続けていきたいと思っている人は、この点は大切にしないと、後々苦しむ可能性があります。特に、その大学に長く勤める可能性があるのならば、特に慎重になるべきでしょう。

待遇(給料、ボーナス、研究費等)

これは、応募の時点でははっきりとわからないことが多いのですが、一般的な評判や本、ネットで可能な限り調べておく必要があるでしょう。
採用が決まり、いざ着任というときに示された給料が低すぎて、断るケースはよくあります。

大学の将来性、経営状態

現在日本には800近くの大学があり、多くの大学が定員割れという問題を抱え、経営も悪化しています。
国立、公立、私立に限らず、これからのその大学の将来のことを考えたほうがいいでしょう。
具体的には、大学の規模、学生数、志願者数、収支等の情報くらいはは把握しておいたほうがいいと思います。
特に若い人は、これから「潰れない」ということを意識した大学(職場)選びをしたほうが得策。
もちろん、将来性のある「潰れない」大学の教員公募には、数百、数千の応募があるでしょうから、専任教員の席をゲットするのは容易ではないでしょう。